9/16新制度最新情報と今後の妄想

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施行へのスケジュール.pdf
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新制度施行の27年4月に向けた準備を行なうとすれば、添付資料にあるように26年10月から認可認定の事務作業や認可保育所の申込みを開始しなければなりません。「ウィズチャイルドが27年4月から認定こども園になれるか否か?」の答えについては、まず一歩、9/25の多摩市の子ども子育て会議にて認可保育所への株式参入が承認されるかが注目なのでしょうが、その先にまた一歩、一歩と踏みしめなければならない課題はありますので、それらの決定が10月以降に持ち越されるようであれば、時期的に準備が間に合わず、27年度はこれまで通り認証保育所として運営していく事になります。やる事はやったので、あとは待つのみです。

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広域利用調整.pdf
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9月11日の国の新制度説明会にて示された資料だが、要は何が書いてあるのかと言うと、「市外の利用者ニーズに適切に対応する為に実態把握を急ぎ、お隣の市と早めに話し合って下さい。そして東京都は各市の事情を上手に調整して下さい。その為に事業者からの個別の聴き取りも丁寧にして下さい。とにかく、困る人がいないように適切な対応をして下さいね。」というお国からの通知である。

「やっと出たか!」・・・この時期にこの文章が出されるという事はつまり裏を返せば、話し合いも調整も全てこれからでまだやっていないという事であり、あと一カ月の間にどうにか結論がでる事がいかに困難かがよく解る。

実はこの件について当社も以前から内閣府と東京都にお願いしてきたところである。「新制度移行時の在園児への『配慮』について、判断基準を文書で明示して頂かないと、不利益変更に対して配慮する自治体と配慮しない自治体が出てくる。それは利用者が困る、防ぐべきだ。」と。だから「やっと出たか」と言うのが正直な感想である。が、まずはありがとうございます。当社が知る限り現状では近隣各市でも市外利用者への捉え方は様々である。ある市は「利用者の意思が何よりも尊重されるべき。」と言い、ある市は「我が市の待機児解消が何よりも優先されるべき。」と応える。このような温度差の擦り合わせを加速させるひとつのきっかけとなる事を願う。

 

では、この先どんな問題が生じるか予測してみよう。(ここからは私個人の妄想である。)

まず27年度については、適切な広域調整が図られるまでに時間を要してしまい、新制度へ移行する園はほとんどなかった。特に幼稚園や認可外施設など、多地域からの受入れを行なってきた施設にとっては、利用者の不利益変更を考えると新制度移行を断念せざるを得ない、という結果に終わる。そういった中で27~28年度の新入園児の受入れを行なっていく幼稚園や認可外保育施設は、利用希望者に対しこう説明する。「当園はそのうち認可認定を受ける可能性があるのですが、その際、他市からの入園者はどうなるかは今は何とも言えないのですが、それでも宜しいでしょうか。」そう了承を取らねば今後の他市のニーズを受入れられない事になる。これから入園を決めようとしている保護者はこれを聞いてどんな気持ちになるだろうか?・・・まだ新制度を活用しないうちから事業者にも保護者にも不安の種が植え付けられているのだ。

この種が芽を出すとどうなるか、最悪のパターンはこうである。影響を大きく受けた園では定員割れを招き、結果、新制度が園の寿命を加速させ、廃園へと追い込まれる事例が出る。(これははっきりとした原因が見えない為あまり表沙汰にはならないが)仮にそこまでは大袈裟だとしよう。しかし幼稚園や認可外施設からの転園者や退園者が増加するという事態に陥る可能性は高い。27年度への移り変わりの時期には、間違いなく今までの実績を上回る事になると妄想する。つまりそれは認可保育所への申込み数が増えるという事であり=待機児童数も増えるということ。新制度で待機児が増えると見込まれる要因として、潜在ニーズが掘り起こされるだけでなく、このように制度外の施設から制度内の施設への転園ニーズという現実もまた今後浮き彫りになってくるだろう。27年度の認可申込者数がどういう数字になるか見守りたい。・・・そんな芽が出ないうちに各園は利用者の為にも何とか見通しを早くはっきりさせなければならない。その為に国や自治体の制度固めは急を要するのである。「では初めから新制度移行なんてしなきゃいいのか。」いいや違う。新制度は利用者である皆さんの子育て環境をより良くする為にできた制度であり、皆さんのお金で成り立つ事ができる制度であるからして、皆さんが平等に使えるようにしなければならない使命を帯びているのだ。だから未完成の制度に苦しむのだ。

そして、事業者は困る保護者を目の当たりにし、早々の決定を迫られることになる。①新制度移行への期待をみんなで捨てるか、それとも②今後市外の子どもはもう受け入れずに市内の子どもだけの受入れに徹し数年後の無傷での移行時期を待つか、もうひとつ③一時の犠牲を払い無理矢理認可化するか、の3択となる。経営的視点のみで考えれば答えは③である。しかし新制度は利用者視点で考える制度である。①と②を選択する場合は、今まで以上に独自性を打ち出し園児が継続的に集まるよう安定運営を成り立たせる必要がある。例えばブランド化された幼稚園のように。だが本当に欲しい答えは④である。④全ての在園家庭が何の不利益なく継続利用を保障された状態で新制度に移行する。である。本来あるべき選択肢であると考える。が、現状はない。

しかしまた一方、28年度に入ると、半ば強引に新制度移行を行なう施設、つまり③の選択肢が急に増えることになると妄想される。安定運営のため背に腹は代えられず、幼稚園にしても新制度移行が増える。それに伴い、新制度移行によって転園や退園を余儀なくされる家庭も増える。そういった家庭から苦情が挙がり「実は利用者を苦しめる新制度」問題が浮き彫りになってくる。どこかの新聞に報じられ、そこでようやく不利益変更を防ぐべく、より確定的な条文が国から示され、都道府県を通じて各市町村に明示され、各子ども子育て会議で議論され、ようやく29年春に向けて、不利益変更のあるご家庭が卒園までを保障される形が出来上がる。最終的な条文にいたっては至極シンプルなものに到達する。『新制度移行時に既に在籍する市外のご家庭については、保育の必要性がある限り、希望すれば卒園まで引続き在籍できるものとする。』・・・そもそも今何故この答えが出せないのか・・・・・いずれにせよ既に議論は始まっている。

この議論が、私の妄想劇の甲斐もなく、いともあっさりと最終結論に導かれる事を大いに期待したい。

 

※誤解のない様記すが、私は制度準備の進み具合を非難する気など毛頭ない。むしろ様々な調整が大変なんだろうな、と心から思う。内閣府に問い合わせても、東京都に問い合わせても、「すみません。なかなか進まないのですが、利用者視点で一生懸命やっています。」と非常に低姿勢なご対応に逆に申し訳ない気持ちになる。それでも、現状何に時間が取られていて、これからやらねばならない事は何なのかをきちんと教えてくれるし、疑問にも答えられる事は全て答えてくれ、答えられない事でも「今は決まっていないが必ず順次対応する」と答えてくれ、資料提供もしてくれる。たかが一事業者の困り事にも利用者目線で耳を傾けていただき、制度の捉え方の解説まで時間を取っていただける。その姿勢から、何とかこの新制度を生きたものにしようと奮闘するお上の熱意が伝わってくる。熱意は伝えればきっとまた誰かの心に熱を宿す。まだまだ我々にもできる事はあるはずだ。既に後退も停滞も許されない時代に入っている。今後とも微力ながら全力を尽くし前進していきたい。そんな気持ちである。長々読んでいただき感謝です。