どの保育園でも、ふとしたきっかけで保育士と保護者の信頼関係にひびが入るなんてことは、よくあるものです。今はなくても、ちょっとしたきっかけでいつでも起こり得る環境にあります。私はそんな関係性、環境をどうにか無くすことができないかと考えています。何よりこどもにとって不幸な事だからです。
保育士と保護者がもっと安定して分かり合うために、もっとゆるがない信頼関係を構築していく為に、私達にできる事はなんでしょう。私はそれを現場の皆さんと一緒に保護者の皆さんとも一緒に真剣に考えていきたいと願っています。
こどもは大人の心を察する天才です。
たとえ話ですが・・・。
あなたが2歳のこどもだとします。例えばパパとママが喧嘩していて自分の前では笑顔でいても、あなたはすぐに察します。察して笑顔でのぞき込んできます。親が機嫌が悪かったり元気がなかったりした時、あなたはすぐに察して抱きついてきます。あなたは察する天才です。そして、何か違うと感じたことを何とかしようと頑張る小さくも尊敬すべき存在です。
あなたのママは一生懸命あなたを育てています。でも保育園の先生は、あなたのママにダメ出ししています。もっと上手にああすればいいのにこうすればいいのに、と。もちろんあなたの前ではそんなことは言いません。でもあなたは察してしまいます。そしてあなたはどんな気持ちになるのでしょう。
私達は決して親を評価するような保育士であってはなりません。こどもを評価する保育士になってはもっとなりません。
親やこどもを評価することは私たちの存在意義に反します。なぜなら私達は、親と子の幸せな育ちに貢献するためにここにいるからです。評価から貢献心は生まれません。
忙しくストレスの多い現場で、そうなってしまいそうな自分をいつも踏みとどまらせてください。どんなに辛くても、それが保育者の使命だからです。
でも、でもです。保育者がいつも愛に満ち溢れ、心折れず、疲れてしまったり人を評価をしてしまったりする事がない様に、親や地域社会も保育者を評価しないようにならなければなりません。もっと本気で互いを理解し支え守り合わねばなりません。
私は保育事業を営む者として、保育者一人一人がまっすぐに親と子の幸せに貢献し続けて行けるよう、親と保育者の理想的関係性を保持する事に使命を感じています。
なぜなら、あなたの一番信頼する一番近くにいるママとパパと先生が、あなたの幸せを一緒に同じように考えて接してくれていたら、あなたにとってこんなにうれしい事はないからです。そしてあなたはそれもまた察し、幸せいっぱいの笑みを浮かべる事でしょう。
パパ会も、BBQも、流しそうめんも、地域の祭りへの参加も、たくさんの保育参加も、保育ドキュメンテーションのアピールも、療育や医療との連携も、心のこもった「おかえりなさい」の挨拶も、全部そういう事のためなんです。そういう事のために私達保育者は日々頑張っているんだと思うんです。
そうやって考えると、安定した信頼関係の構築のために、もっとできる事ってあるんです。たとえば「今日もおしごとお疲れさまです」や「お母さまお誕生日おめでとう」と言える事とか、たとえばお子様の3歳の誕生日のお迎えの時に「この子のお母さまとしての3歳おめでとう」って言ってあげたりとかお花をプレゼントしたりとか。
そしてお母さまお父さま達からも言ってもらいたいですね。
「先生お誕生日おめでとう」
「先生3年目あめでとう」
「先生いつもありがとう」
親御さんからも、そうやって言ってもらえるような機会、場づくりを何か考えていきたいものですね、そんな幸せな関係になれるアイデアがあったら、皆さんでも話し合ってみて下さい。そしてぜひ実行してみて下さい。
幸せを与え合っている大人の姿をたくさんこどもに「して見せて」あげたいものです。