5月、新しい保育生活へ向けて

今、私達は大海の嵐の中に居ます。舵取りを一つ間違えば、次来る波で大破してしまうやもしれません。

そして、次来る波がどちらからどのようにやって来るのか、それは誰にもわかりません。「嵐を乗り超える」ために私達にできる事はなんでしょう?船を降りる事はできません。船室にこもる事はできるかもしれませんが、それは祈りに全てを託す行為です。乗り越えるためには行動しなければなりません。

 

私達は既に運命共同体なのです。それぞれができる仕事を最大限にこなし、強いチームとなって嵐が収まるまで航海を続けるしかないのです。その為に最も大事なのは、選択肢を持つことです。どちらに舵を切っても命を失わないように備える事です。どのような状況になっても船を沈めないように備える事です。大事な事に全員が一点集中する事でチームは増強されます。

 

保育所において「沈む」とは、運営が立ち行かなくなる、つまり園がつぶれるという事です。或いは方向性を見失いチームとして崩壊することかもしれません。そうならない為に、大きな事故を防ぐことや離脱者を防ぐこと、その為に気持ちをひとつにし大目的を共有することが大事です。

 

さらに踏み込んで言えば、「大きな事故(感染)があったとしても沈まないように備える」ことが極めて重要な考え方となります。今、私達にはその覚悟が求められています。もちろん保護者も運命共同体に含まれます。

今こそ、これからこそ、一人一人がチームのために考えて動く事ができるか否かでチームの存続が左右されます。

 

ですから、一方的にルールを課すようなチームでは、今後の予測できない荒波を乗り越えることはできません。新型コロナウィルスによる影響で我々日本人が最も受けることのできる恩恵のひとつは、依存型社会からの脱却ではないかと思っています。また、そうであって欲しい、そうしたいと自分は考えます。

 

保育士である私達は、きっとこども達にこのように尋ねます。

「世界中でみんなが困っているとします。あなたも家族もお友達も、住んでいる町の人達もみんなが怖くて困っています。どうしたら自分やみんなが救われると思う?あなたならどうする?」私達はそのように尋ねて、考えてみる事を促します。思いもよらない解決方法が出てくるかもしれません。

「そんな中でも幸せを感じる心を大切にしたいよね、どうしたらいいだろう?」と、心のケアの大切さも知ってもらえるように会話を進めてみます。

そして、輪になってみんな対等である形を示し、意見を出しやすい環境を創ります。相手を評価しない、否定しない、話しやすいように聴く姿勢を意識するなど、他者への配慮を重んじます。自分の考えに対する正解か不正解かを人に求めず自ら導き出す力をつける為、良いと思えたことはなぜそう思ったのかを掘り下げてみる、そして行動に移してみて、またどうだったか振り返り考えてみる、そういう経験をたくさん積んでもらえる環境を提供します。そのようにして見通す力や解決する力を身につけ、人生を歩んで欲しいと願います。他者の事でも社会のことでも、自分事のように捉える事のできる思考能力を伸ばしてほしいと願います。なぜなら、そういう思考力と行動力のある人が増えれば、世界は平和になるからです。私はそういう人財を育てる保育をしていきたいし、そういう保育所を創りたいし、そういう世の中を創るひとりでありたい、と思うのです。

 

だから、モンテッソーリ教育であり、インクルーシブ教育であり、生物多様性を教えてくれる環境教育なのです。今こそ保育が重点を据えるべきものとして確信します。これらの芯には、Essential(人にとって本質的不可欠な)な生き方が共通して現れています。もはやどの教育法が良いか悪いかという議論ではなく、本質的な事にもっと視点をあてて、不可欠な事はもれなく満たす保育の在り方を私達保育現場に携わるひとりひとりが声をあげて行動改革していく必要があると思います。皆さんと共に行動し、発信して行けたらと心から願います。

 

これからの私達の「保育」におきる変化を冷静に観察しましょう。今、これから力を入れる事、或いはこのような状況下でも変わらず継続して必要な事は、本質的不可欠な事である可能性が高いのです。そして、そうでないものは恐らく元々そうではないのです。